市川カニ蔵さんの『Eternal Time』を理論的に紐解きカニ蔵さん作風を学ぼう①
どうも僕です。
あまりにもマニアックな内容なので新ブログを作りました。
市川カニ蔵さんの曲を聴いているそこのDTMer!カニ蔵さんの曲ってどういう風に作られているの?ということを理論的に紐解きカニ蔵さん技術を盗んでみましょう!
なおEternal Timeにはver2がありますが、ver1のMIDIしか持っていないのでver1のMIDIを元に解説します。
また、音楽理論についてはめちゃくちゃ詳しいわけではありません。かなり身内向けブログではありますが間違いがあれば指摘をお願いします。
Eternal Timeのコード進行とは?
上記TmBoxの音源の~30秒までやサビにあたる部分のコード進行を確認しましょう。
なおこの楽曲のキーはCです。
FM7 G Am7 Em7(繰り返し)
ディグリーネームだと
IV△7 V VIm7 IIIm7
4563ですね。王道進行FM7 G7 Em7 Amにも似ています。
このコード進行について注意すべき点が2つあります。
Gだけ三和音にしている
なぜGだけ三和音なのでしょうか?他が四和音のためFM7 G7 Am7 Em7としても良い気がしますが…。
G7というのはメジャーセブンスでもマイナーセブンスでもないセブンスコードです。
このセブンスコードというのは不協和音のコードなんですよね。G7の場合シとファが増五度(減五度)の関係だからです。増五度とか分からない?分からなくても大丈夫です!セブンスは不協和音のコードです。
不協和音だからといって悪いコードではありません。よく使われます。ただしこのEternal TimeではGであるということ。カニ蔵さんは意図的ではないと思いますが、G7というのは癖が強い響き。もしG7にしてしまった場合トランスのようなサウンドからは遠ざかってしまうでしょう。
ではFM7 G Am7 Em7とFM7 G7 Am7 Em7を聴いてみましょう。
G7のほうが感情に訴えかけるような泣きの響きですよね。これはバラード感が出てしまいますね。
最後はEm7
最後Em7にすることによって少しふわっとしたような感じになります。
FM7 G Am7はサブドミナント→ドミナント→トニックという強進行で形成された綺麗なカデンツの形ですよね。
しかし最後のEm7はドミナントです(トニックでもあるがAm7から続く音として考えるとドミナントとしても響きと捉えやすい)。トニックからドミナントは弱進行のため最後のEm7で少し拍子抜けするような感じがあるかもしれません。
ですが、これは繰り返される循環コード進行です。Em7からFM7へは綺麗に繋がりますね。
もし聞き手をぐっと引きつけるならEm7ではなくE7にするという手もありますが、トランスというジャンルを考えるとふさわしくないかもしれません。
その他は全て
FM7 G Am7 Am7(繰り返し)
ディグリーネームだと
IV△7 V VIm7 VIm7
先ほどのEm7がAm7に変わった形ですね。王道的でアニソンなんかだと頻繁に現れるコード進行の1つ。カニ蔵さんやカニ蔵さんの師匠であるNekodarumaさんも456の進行を好みます。このコード進行を使えばカニ蔵さんっぽくなると言っても過言ではありません。
Gが三和音というのは先ほど解説した通りです。
トニックを二小節続ける安定した響き
Am7が2小節続いていますね。Em7が現れるよりもはっきりとした印象に残りやすいコード進行です。使いやすくメロディが付けやすいというのもポイントです。
王道進行よりもあっさりとしていてどんなジャンルにも使えますが、ありきたりな感じになりやすいという点に注意。このコード進行を用いるのであればアレンジ力が試されるでしょう。
ドラムのフレーズ
ピアノ入りのドラムフレーズを聴いてみましょう。
勢いをつけるクラップとスネア
基本的には四つ打ちです。初めはクラップがたくさん鳴っていますね。楽曲を聴いてもらうと微かに鳴っているような感じです。
しかしスネアのリズムも変わっていることが分かります。これも楽曲に勢い付けをする効果があるでしょう。
連打のキック
そして四つ打ちですが、キックの連打が入りますね。ダンスミュージックではよくあるキックの連打ですが、この曲では2拍の間だけ連打させています。これは他のダンスミュージックで見られる徐々に早くしていって高揚感を高めるものではなく、音を埋める役割かもしれません。
実際キックが連打されているところでは他の音が鳴らない状態であることが多いです。
パターンが変わるハイハット
クローズとオープンを交互に繰り返す8ビートの部分と、クローズを連続で鳴らす16ビートの部分があります。
16ビートの部分は音数が少ないところで用いられ、楽曲を飽きさせない構成になっています。
通常トランスでこのようなフレーズの変化というのはあまりありませんが、ピアノトランスならではといったところでしょう。
というわけで今回はこの辺で。次回は更に様々な音を解析してみましょう。